「すごーい。全部覚えてくれたの?イオくんって凄く頭いいなー」


感嘆の声をあげたら、彼はクスッと笑う。


「あ、つむぎのその口調久しぶりに聞いたな」


「え?」


「昔、俺によく言ってくれたんだ。


イオくんはすごいねって。
勉強ができて凄いね、スポーツが出来て凄いね、バイオリンが上手くて凄いねって」


「うん、そうだったね。だってイオくんは頑張り屋で努力家だったもん」


「おばあさまの部屋に行けばいつもつむぎが来ていて。
俺は父や家庭教師からはあまり褒めてもらえなかったから、それどころか叱られるばっかでさ。でもつむぎが褒めてくれて嬉しかったんだ」


懐かしそうに言う彼の笑顔は綺麗だった。


「え、そっか、知らなかった。イオくんてどんなに私が感心しても、こんなの普通だよとか言ってクールだったから」