「お父さんたら、つむぎのことも考えてやって。
大人の事情を押し付けたところで、もうこの子達は」


「お母さんは黙ってなさい」


「あら、わからないことばかり言って。
さっきの2人を、見たら一目瞭然でしょ。もう始まってるのよ、それを止めることなんて」


「何が始まってるだ、そんなこと許さないぞ」


父がイライラしたように語気を荒げる。


「だって、昨夜だってねぇ、つむぎ」


ねぇと言って私を見る母にギョッとした。


まさか昨夜の伊織さまとの初夜のことを言ってるんだろうか。


というか、この様子だと父は昨夜のことを知らないの?


「なんだ?昨夜なにかあったのか?」


うわっ、やっぱりだ。父は知らないみたいだ。



「もう2人は夫婦になったのよね?昨夜」


「な、な、な」


父が目を白黒させて頭を押さえている。