派手な色の胸もとが大きく開いたトップスに、短いタイトスカート。露出の多い格好に、顔にメイクをしてアクセサリーを前に見た時よりも多くつけている。

「こんにちは、どこかお出かけですか?」

藍が微笑み、そう言うと「どこだっていいでしょ!!」と大野花凛は藍を睨みつけて歩いていく。

「霧島さん、あんなのに話しかけなくていいですよ。平日なのに学校をサボるような人ですし!」

大河が慌てて言う。藍は「そうかしら?」と言いながら玄関まで向かった。

玄関では、大野和美が疲れ切った様子で立っていた。しかし、藍と大河に優しく微笑む。

「お忙しい中、わざわざ来ていただきありがとうございます」

ぺこりと頭を下げられ、藍と大河も頭を下げる。そして、綺麗に片付けられたリビングに通され、お茶を出された。

「平日なのに、あの子がいるっておかしいですよね」

大野和美はポツリと呟く。

「私はあの子が小さい頃離婚して、この家に帰って来ました。不自由な暮らしをさせないようにと、懸命に働いてきました。あの子はほとんど私の父に育てられたようなもので、小学生の頃はおじいちゃんっ子だったんですよ。二十歳になったらネックレスをプレゼントしようってあの子に父は言っていましたし……」