数日後、遺体の身元は大野三郎だとDNA鑑定の結果判明した。

藍はすぐに如月刑事に情報を伝える。如月刑事たちは、防犯カメラの映像から容疑者の特定を進めているそうだ。

ひき逃げなど、決して許されぬ行為だ。

藍は胸もとを強く掴んだ。



DNA鑑定から早数日。藍は大河とともに、大野和美の家を訪ねていた。大野三郎について聞くためだ。

大野和美の家は、木造の平屋だった。藍が呼び鈴を押すと、「誰〜?杏子?」と大野花凛の声が聞こえてくる。

「今日って平日ですよ」

大河と藍は顔を見合わせた。

「法医学研究所の者です。大野和美さんはいらっしゃいますか?」

藍がそう訊ねると、「何だ、あのわけわかんない人たちか」と言う声がした。その後ろから「花凛!失礼なことを言わないで!」と大野和美の叱る声がする。

「うるっせえな!!黙れ、このクソババア!!」

その刹那、ドアがバンと勢いよく開き、藍は一瞬ビクッと体を震わせた。