「空ってどんな色?」

それは息を吐くように、流れるように彼女の口から出た。

「え?」

「だから、空だよ。空の色。」

心理テストかなんかだろうか。

「んー青じゃない?」

「ふーん、そっか。」

彼女は空を見上げて黙ってしまった。どうやら心理テストではなかったようだ。僕は話を続けた。

「でも空って見る人の心を映すって言うよね。」

よく聞く言葉だと僕は思ったのだが、彼女は心底不思議そうに聞いてきた。

「それってどういうこと?」

「例えば、楽しくてわくわくした気持ちで空を見ると真っ青に見える。でも悲しくてどんよりした気持ちだと空は灰色とか暗い色に見えるとかいうやつだよ。」

「じゃあ君は今わくわくしてるんだ。」

彼女はなんだか嬉しそうに言った。僕はさぁね、と言ったがやっぱり空は青かった。