買い物を終えてすぐに部屋に戻り、シャワーを借りた。

 織がくれた服は、黒のオールインワン。
 バックにさりげなくフリルがあしらわれていて、モノトーンでも可愛らしさがある。

 全身が映る鏡の前で、こっそり身だしなみをチェックしていると織がやってきた。

「今日はお団子? この間も思ったけど、ずいぶん器用になったんだな」

 身支度しているところって、見られると恥ずかしい。
 私は赤い顔をごまかすように、ふいっと背を向けて答える。

「すっごく練習したからね。裁縫よりは向いてるみたい」

 自虐交じりに言い、動揺を落ち着けようとしていたら、首元を触れられた。

「ひゃっ! ちょ、なにっ……」
「確かに。うなじの後れ毛あたり、絶妙な色気出てるしね」

 慌てて首を押さえ、振り返ると、涼しい顔をした織がまじまじとこっちを見ていた。
 無意識に織から後ずさり、壁に背がぶつかったところでおどおどと口を開く。

「だ、だって! 見た目が子どもっぽいでしょ、私。せめて髪型やメイクでどうにかしなきゃ」

 実は、オールインワンの服はちょっと苦手意識を持っている。

 背も小さいし、顔立ちもどちらかというと童顔なほうだから、幼く見えてしまう気がして。
 だから、背が少しでも高く見えるように今日はお団子にした。

 子どもっぽくならないように、ルーズ感も出して……。
 あとはヒールの靴を履けばそれなりに見えるはず。