目を閉じていても眩しい朝陽を感じ、渋々瞼を押し上げた。
いつもよりも明るく感じるのは、天気がいいせい……なんかじゃない。
私は一気に目が覚め、がばっと身体を起こす。
自宅の小さな窓とは比べ物にならない大きな窓から、燦燦と降り注ぐ太陽の光。
夏場は時化りがちな固いベッドと違って、ふかふかした感触。
そして、指に触れているのは、茶色がかった柔らかな髪――。
「あーっ!」
隣を見ると織の寝顔がある。
ここは、自分の家じゃない。織が利用しているホテルだ。
私、あのまま寝落ちしちゃって……。
茫然とするのも束の間、はっとして腕時計を見る。
「七時過ぎ!?」
完全に寝坊した。今から自宅へ帰るのは無理。遅刻しちゃう。
そうかといって、着替えもなにもないのに……。
ベッドの上でおろおろとしていたら、きゅっと手を握られた。
「おはよう」
「お、おはよう……。って、それどころじゃないの! どうして昨日、起こしてくれなかったのー! 着替えもないし時間もないし、どうしたら……!」