「彼は紛れもなく〝Sakura〟のデザイナーだ。瀬越ってこのこと、知ってたんだよな? 昨日教えてくれればよかったのに」
「いえ、私、本当に知らなくて」
「世界的に有名なブランドなのに、うちの監修をあっさり引き受けてくれたのは、お前が幼なじみだからじゃないのか……? だとすると納得がいく」
辛辣な言葉を浴びせられ、絶句する。
「……私がコネを利用したって思われているんですか?」
井野さんは、悪意があったわけではないみたいだ。
目を泳がせ、すごく申し訳なさそうな表情をしている。
むしろ、私を思って正面からぶつかってきてくれたのかもしれない。
織が幼なじみだって事実を知れば、みんな井野さんが言うようなことを考えると思う。
それはわかるけれど……さすがに私もショックを受ける。
「あなたは本当に、彼女がそういうことをする人間だとでも思う?」
突然、私たちの会話に割り込んだ声に、俯きかけた顔をまた上げた。
「えっ、さ、佐久良さん!」
「織……」
織は私の隣に並び、笑顔で井野さんに言った。
「昨日、あなたはとても頼りになる仲間だと麻結が話してくれていましたが」
織は柔らかな物言いで続ける。
「麻結は本当に僕相手だって知らずに企画書を送ってきたんですよ。もし知っていたなら、昨日あなたといたときに、そう僕を紹介するはずでしょう」
井野さんは気まずそうに、小さく下唇を噛んだ。
「いえ、私、本当に知らなくて」
「世界的に有名なブランドなのに、うちの監修をあっさり引き受けてくれたのは、お前が幼なじみだからじゃないのか……? だとすると納得がいく」
辛辣な言葉を浴びせられ、絶句する。
「……私がコネを利用したって思われているんですか?」
井野さんは、悪意があったわけではないみたいだ。
目を泳がせ、すごく申し訳なさそうな表情をしている。
むしろ、私を思って正面からぶつかってきてくれたのかもしれない。
織が幼なじみだって事実を知れば、みんな井野さんが言うようなことを考えると思う。
それはわかるけれど……さすがに私もショックを受ける。
「あなたは本当に、彼女がそういうことをする人間だとでも思う?」
突然、私たちの会話に割り込んだ声に、俯きかけた顔をまた上げた。
「えっ、さ、佐久良さん!」
「織……」
織は私の隣に並び、笑顔で井野さんに言った。
「昨日、あなたはとても頼りになる仲間だと麻結が話してくれていましたが」
織は柔らかな物言いで続ける。
「麻結は本当に僕相手だって知らずに企画書を送ってきたんですよ。もし知っていたなら、昨日あなたといたときに、そう僕を紹介するはずでしょう」
井野さんは気まずそうに、小さく下唇を噛んだ。