【この間、ソフィーがこっちに来た。式場の下見だって。そのとき預かったものを送るよ】

 預かったもの? たしか、二週間くらい前に広報の人が『ソフィアさんと撮影があった』って話をしていたのに。
 そのあとになにか渡したいものができたのかな。

 でも、ソフィアさんが私に渡したいものなんて……なんだろう?

 織からのめずらしい手紙の理由に納得するも、ソフィアさんからの預かりものに首を傾げ、重ねられた便箋を確認する。

 私は最後の一枚を凝視した。

「えっ……」

 それはフランス行きのeチケットの控え。
 大きく目を見開いて見てみると、搭乗者の名前は私。

 再び手紙に戻ると、最後は【待ってる】と締めくくられていた。

 織の文字を見て、これは本当に航空券なのだとわかって脱力する。
 ベッドに腰を下ろし、茫然とeチケットの控えを目に映していた。

 こんなサプライズってない。

 だけど、織じゃなくソフィアさんからって……ああ、そうか。織も書いてた。結婚式をフランスでやるんだ。それで、わざわざ私を招待してくれたんだ。

 搭乗日の日付を見たら来月中旬。確か人伝いにソフィアさんの式は一月って聞いた気もする。

 ゆっくりと身体を倒し、仰向けになった。両腕を天井に伸ばし、織の手紙をまじまじと眺める。
 そっと、織の書き綴った字を撫でた。次の瞬間。

「わあっ」

 スマホの着信音に驚いて声を上げてしまった。バクバク騒ぐ胸を手で押さえ、スマホの元へ移動する。見ると、相手は織だった。