その後の会議は、織へ聞きたいこと、言いたいことで頭がいっぱいだった。
約三十分の会議も終わり、織は本部の社員とともに先に退室していった。
その後、残りの社員がぞろぞろと会議室を出ていくのをぼんやりと眺める。
「あ、瀬越さーん!」
戻っていく社員の波をかき分けるようにこちらに向かってきたのは、私と同じく、〝woman crash〟のエリアマネージャーの青井さん。
彼女は私の元へやってきて、にこやかに言う。
「あの人が〝Sakura〟のデザイナーなんだね! めっちゃイケメンでびっくりした! 瀬越さんが〝Sakura〟のファンっていうの頷けたあ!」
「いや、その……ルックスがどうって理由で好きになったわけじゃなくて……」
大体、あれだけ調べたのに織の情報なんて一切なかった。
「顔もいいし、若いし。それでブランドひとつ任されているなんて、本当すごい人だね! しかも、日本人だし親近感湧くなあ」
青井さんは、手を合わせて目をキラキラさせて、さらに続ける。
「もしかして〝Sakura〟って佐久良さんの名前から取ってるのかな。だとしたら、あのアスピラスィオンも、彼に一目置いてるってことだよね。かっこいい~」
「名前……」
気づかなかった。織の名字は、確かに佐久良だ。
私はずっと、日本を象徴するフレーズとしての〝桜〟が由来だと思い込んで、名字かもだなんて過りもしなかった。
私は青井さんと別れ、ぐるぐると考えを巡らせながら席に戻る。
約三十分の会議も終わり、織は本部の社員とともに先に退室していった。
その後、残りの社員がぞろぞろと会議室を出ていくのをぼんやりと眺める。
「あ、瀬越さーん!」
戻っていく社員の波をかき分けるようにこちらに向かってきたのは、私と同じく、〝woman crash〟のエリアマネージャーの青井さん。
彼女は私の元へやってきて、にこやかに言う。
「あの人が〝Sakura〟のデザイナーなんだね! めっちゃイケメンでびっくりした! 瀬越さんが〝Sakura〟のファンっていうの頷けたあ!」
「いや、その……ルックスがどうって理由で好きになったわけじゃなくて……」
大体、あれだけ調べたのに織の情報なんて一切なかった。
「顔もいいし、若いし。それでブランドひとつ任されているなんて、本当すごい人だね! しかも、日本人だし親近感湧くなあ」
青井さんは、手を合わせて目をキラキラさせて、さらに続ける。
「もしかして〝Sakura〟って佐久良さんの名前から取ってるのかな。だとしたら、あのアスピラスィオンも、彼に一目置いてるってことだよね。かっこいい~」
「名前……」
気づかなかった。織の名字は、確かに佐久良だ。
私はずっと、日本を象徴するフレーズとしての〝桜〟が由来だと思い込んで、名字かもだなんて過りもしなかった。
私は青井さんと別れ、ぐるぐると考えを巡らせながら席に戻る。