父に実家に連れ戻されていたわたしは、真と電話をするのが日課だった。

父に、
「1回きちんと真と別れて、それでもお互い気持ちが変わらなければ結婚すればいい。」
と言われ、真に話した。

「いやだ!愁と別れるくらいなら、俺は死ぬ!」
 そう言うなり、電話は切れた。

 わたしは心配になり、取るものも取らず家を出た。
 真の行きそうなところ…わたしは暗くなり始めた街を走る。まず、Barに行った。
「すいません!岩田真来てませんか?あの…金髪のちょっとガタイのいい人なんですけど…。」
店員達は顔を見合わせて首を傾げる。
「すいません!ありがとうございました。」

ここじゃない。…気ばかり焦る。

…電話!気付いて後輩さんに電話をかける。
「真の居場所知ってますか?」
「愁ちゃん、なんかあったの?」
「え…と…話していいのか……」
「わかった。オレも、真さんと連絡とってみるわ」
「お願いします!」

 どれだけ走り回っただろう。思い当たる場所は全て回り、ヘトヘトになったわたしは、トボトボと真の家に向かう。車のないわたしに、車持ちの真の居場所がわかるはずないやん。

…と、何かが、暗い道の真ん中にころがっている。目を凝らす。

……真!?……

わたしは呆れ顔で、安堵のため息を漏らした。

「危ないよ。帰ろう。立てる?」
そう声をかけると、真は酔っているようで

「愁ちゃんだぁ〜!い〜の!オレ死ぬから!ここでい〜の!」
「はいはい!わかったから!ここで寝てても風邪引くだけだよ!帰ろう‼」

 わたしは、一回りも違う真を立たせると、家に連れて帰る。

 家に入ると、真は泣いた。
「愁ちゃんのこと、オレ、守れてなかったんかなぁ…。」
わたしはなだめるように言う。
「守るのは力じゃなくて、優しさなんだよ。真はちょっと間違えちゃっただけ。」

「愁ちゃん、しよ?生で…。子供出来たら結婚しなきゃでしょ?」
「いいよ。最後ね。明日…帰る。」

 最後は優しいSEXだった。フェラも強要しなかった。
 した後は腕枕で寝た。久しぶりだった。

 翌日、真より早起きをして、タバコをワンカートン置いて、始発で帰った。妊娠はしていなかった。

 この1年後、真から連絡があった。彼は待つと言ってくれたが、他に好きな人が出来たと言って終わった。