なんの音もしなかった。
明香の足が、わずかに浮いている。
それでもその場に崩れ落ちないのは、首に鎌の刃が刺さっているからだ。
右から左へと鎌の刃が飛び出し、明香は串刺しにされていた。
「なに、これ」
響子が呆然と呟く。
いきなり現れた死神が、しりとりゲームの失格者である明香を__殺した?
失格になれば、鎌で殺されるの?
ぬちゃ。
鎌の刃が、首から引き抜かれる。
勢いよく血を噴き出した明香が、ばたりと倒れ込んだ。
「あ、明香⁉︎」
反射的に駆けよろうとしたけど、腕を掴んで止められた。
響子かと思ったら、私を引き止めたのは新田くんだ。
「動かないほうがいい」
「でも__でも明香がっ!」
「動くな!」
そう私を叱るのは、まだ死神がそこにいるからだ。
迂闊に近づいたら、私まで殺される恐れがある。
でも、明香は友達。
助けないと!
目の前でゴボゴボと血を吐き出している明香を、放っておくなんてことできない!
「おい、田辺!」と、新田くんが止めるのもきかずに、明香のもとに駆け寄る。
そのとき、血に染まった鎌を持った死神が私を__気にすることなく、教室を出て行く。
「あ、明香!しっかり!」
抱き起こして揺さぶるも、明香はどんどん顔色をなくし、血の海が広がっていき__。