「あぁあああ!」
新田くんが痛々しい声を張り上げるのは、肩を痛めているからだ。
それに加え、賢太の重みが足を引っ張っている。
落ちるのは、時間の問題だ。
「新田くん、掴まって!」
私は手を伸ばしたけど、新田くんは首を振る。
不用意に私につかまれば、3人とも落下してしまうからか?
確かに私ひとりの力じゃ、上まで引っ張り上げるのは無理か__。
どうしよう?
ふと振り返ると、死り神がゆっくりと近づいてくる。
手首のスナップを利かせながら、鎌を投げる練習をしているのか?
もしかしたら、しがみついている賢太だけを斬り落としてくれるかも。
死り神のターゲットは、あくまで失格者だ。
賢太だけ死ねば、ゲームはとりあえず終わる。
「しっかり、もうちょっと我慢して!」
懸命に励まし、死り神がやってくるのを待つしかなかった。
新田くんには、よじ登る力はない。
それどころか__?
「ちょっと!」
なんと賢太が、新田くんの体を伝ってよじ登ろうとしているじゃないか!
「ぼ、僕は死なない!」
小柄な賢太の、どこにこんな馬鹿力があるのか、腰の辺りまで上がってきた時だった。
ぐらっ。
片方の手を離した新田くんの体が、大きく揺れる。
お、落ちる⁉︎