「ぐぁあああああー!」
頭をおさえて呻く賢太は、それでも逃げようと足を前に進める。
酔っ払いがフラついているようにしか見えないけど、もう仕留められると思ったのか、死り神は余裕で鎌を拾いに行く。
小柄だ。
めぐみのように、女子かもしれない。
失格者を殺すことだけをインプットされた、死り神。
「あいつ、ほんとに逃げる気だ。そうはさせない」
「えっ、ちょっと⁉︎」
いきなり駆け出した新田くんを引き止めるも、一直線に賢太に突っ込んでいく。
そのまま体をぶつけ、屋上から弾き出すつもりなんだ!
そんなことをしなくても、死り神が殺してくれるのに。
しかし、肝心の死り神はようやく鎌を拾い上げたところだった。
そして「ん?」という感じて、首を傾げたんだ。
私が2人に向き直ると、ちょうど新田くんが痛めてないほうの肩で、フラついている賢太を押しやった。
でも次の瞬間、賢太は新田くんの腕を掴み__。
2人は転がるようにして、屋上から姿を消す。
「えっ__?」
団子になって転落していったんだ。
あまりのことに、すぐには動けなかった。
2人とも、落ちた?
そんな馬鹿なことって__?
「あぁあああー!」
絶叫する声が聞こえる。
私は駆け出した。
手?
手が見える。
なんとか屋上のヘリに掴まっているのは、新田くんだった。