「退会、できた?」
期待を込めた目で尋ねると__。
「あっ、うん」
響子が頷き、ホッとした空気がテーブルを包み込む。
どうしたいのか、いまいち分からなかった賢太もお腹が空いたとメニューを見ている。
もう参加者同士で争うこともない。
命を賭けた危険な死りとりをする必要もなくなったんだ。
「私も、パンケーキでも食べようかな。響子も食べるでしょ?シェアする?」
「うん?あっ、ごめん。用があるから」
それだけ言うと、そそくさと帰っていった。
「新田くんは?なにか食べる?甘いもの好きだったよね?」
「いや、ごめん。俺もちょっと約束が」
「あっ、そうなんだ」
「悪い。でも、本当に退会できて良かったな」
「うん」
できるだけ笑顔で、新田くんを見送った。
もう、こうして会うこともないかもしれない。
きっと、めぐみと約束してるんだ。
竜ヶ崎先生が死んだから、怖いとかなんとか言って新田くんを呼びつけたに違いない。本当の怖さなんか知らないくせに__。
ふとメニューに目を戻すと、賢太がこっちを見て笑っていた。
「なによ?」
「いや、分かりやすいなって思って。どうする?頼む?」
「えっ、ああ」
もうどうでもよくなった。
ましてや賢太なんかと2人きりなんて。
「帰るなら帰れよ。1人で食べるから」
そう言って、賢太は店員を呼んだ。