いつからだっただろう。
小さな少年の夢を見る様になったのは。


昔は数えていたけれど今は数えるのも億劫になる程に何度も見た夢。

夢の中には黒髪の幼い男の子ひとりしか出てこなくて、パッと見た感じの歳は私の弟とそう変わらない感じの12、13ぐらい。

だけどその表情はその幼い外見に似合わずとても大人びて見えた。

いつも夢の中は真っ暗。まるで男の子にスポットライトが当たっているみたいにそこだけが明るい。

私はそんな男の子に触れる事も話し掛けることも出来なくて、まるでフィルターが掛った様にボンヤリといつも見ているだけだった。

今日もきっと今までと変わらない夢だろう。

遠くで目覚ましが鳴ってるのが聞こえる。

ああ、目が覚めるんだと。夢の中なのにそんな風に感じている事を不思議に思いつつもまぁ所詮は夢なのだから不思議は無いのかな?と自己完結。

バイバイ、また明日ね。

そんな思いを込めて薄れゆく意識の中男の子を見ると、今まで一度として私を見る事がなかった男の子が私を、見た。

確かに視線が重なった。

どくり、と胸が跳ねる。