しばらく他愛ない会話をしながらフォークに巻きつけたパスタを頬張っていると。

「ぶっちゃけ、神楽さんは咲のことどう思ってる?」

目の前で黒田くんがニヤッと笑った。その自信はどこからくるんだろうってくらい、確信めいた強気の笑みだ。

「咲のヤツは、かなり気に入ってるみたいだよ。神楽さんのこと」

「え……」

「だってあいつ、中学のときは女子と連絡先交換したりするようなヤツじゃなかったし。なにかと神楽さんに執着してる」

「いやいや、そんなことないでしょ」

「あるんだなぁ、それが。俺、今日のダブルデートに咲は絶対こないって思ってたもん」

黒田くんはさらに目を細めて笑った。

「俺がお願いしたって、嫌だったら絶対にこない。そういうヤツだよ、あいつは。それなのに神楽さんとは連絡先も交換するし、俺と神楽さんがふたりで話してたら間に入ってくるし、しまいにはあいつから今日いくって言い出すし。ここ最近の咲は、俺の知らない咲ばっかで驚きの連続だった」

くくっと喉を鳴らしてイタズラっ子のように咲をチラ見する黒田くん。

「それにほら、今だって。あいつ、チラチラ俺のこと睨んできてるんだよ。よっぽど俺と神楽さんのことが気になるんだな。かわいいヤツめ」