緋色は仕事中もどうしても「ピンクシュガー」の香水が気になってしまった。
昼休みに調べると、ここから近い繁華街のお店に売っているというのをネットで見つけたのだ。
「ボディークリームとか、石鹸とかもあるんだ………いいなぁ」
緋色はその情報を見ながら、ある事を思いついた。
昨日は、泉に心配をかけてしまった。それにいつもお世話になっている彼にサプライズでプレゼントをしようと思ったのだ。
今日の帰りは泉が職場まで迎えに来てくれる事になっていた。けれど、帰りに会ってしまえばサプライズじゃなくなってしまう。
そのため、緋色は「今日は残業が1時間ぐらい残業する事にしたので、お迎えは大丈夫です。ごめんね」と連絡をした。すると、すぐに「じゃあ、いつもより遅く迎えにいくね」と返事が来た。
プレゼントを買うための制限時間は1時間となってしまったけれど、近くの街なのですぐに帰ってこれるはずだった。
愛音に詳しい場所も聞いたので、迷うこともなさそうだ。
彼へのプレゼントも買って、自分にも彼とお揃いの香水を買おう。それを考えるだけでもニヤけてしまう。
緋色は夕方の楽しみを考えながら、残りの仕事を一気に終わらせた。
定時になると、緋色はすぐに帰りの支度をして会社を出た。いつもならば、途中の仕事を終わらせてゆっくり退社するので、愛音や他の社員を少し驚いていた。
けれど、今日だけは早く帰りたいので、「すみません。」と、言いながら会社を飛び出した。