「緋色ちゃん………緋色ちゃん………」
 「ん…………」


 朝一番に聞くのは彼の声。
 同棲してからずっとそうだった。けれど、いつもは緋色が起こしているはずなのに、今日は泉の方が早く起きているようだった。


 「おはよう。美味しいモーニングがそろそろ来るよ」
 「…………ん………眠たい………」
 「でも、起きてくれないのホテルの人来ちゃうよ。君のそんな姿は俺以外誰にも見せたくないんだけど」
 「…………え………、あ………」


 緋色はハッとして目を開ける。
 寝ぼけて自宅にいると思っていたが、昨晩の事情を思い出して、真っ赤になる。
 そして、布団の中にいるとはいえ、裸だと言う事もわかり、一気に恥ずかしくなる。


 「おはよう、緋色ちゃん。」
 「………おはよう。」


 いつもと同じように彼とキスを交わす。
 ふわりとシャンプーの香りがする。泉を見ると、少し髪が濡れている。


 「体は大丈夫?」
 「………うん」
 「今日の朝食は部屋でとることにしたから、そろそろシャワー浴びてきた方がいいよ。俺が対応しておくからゆっくりしてき。」
 「うん、ありがとう」



 そう言いながらも、ベットから出にくい緋色は、どうしていいのかわからずに戸惑ってしまう。それを見て、泉はクスクスと笑った。