箸でどんぶりをトントンッとつつきながらそういう目の前の先輩に思わず微笑んでしまう。愛音と話していると、緋色はとても明るい気持ちになれるのだ。優しく包容力がある頼れる先輩。泉と雰囲気が少しだけ似ているなと思ってしまう。

 そんな先輩ならばきっと話しても大丈夫だろう。そう思い、この間見かけた光景を愛音に話した。
 すると、愛音は「そんな事だったのー?」と驚いた顔をした後に、優しく微笑んだ。


 「緋色ちゃんは本当に心配性だね。まぁ、そういう所が可愛いんだけどね。」
 「そ、そうでしょうか………?でも、泉くんはすごく楽しそうに話していて。」
 「んー……じゃあ、緋色ちゃんは、今、私と話して楽しく笑ってるとするでしょ?それを遠くから選手が見ていたら、どう感じると思う?」


 突然の質問に、ぽかんとしながらも彼女の質問を考えて恐る恐る答えを口にする。


 「たぶん、女性同士なので何にも思わないと思います。」
 「そこよっ!」


 箸をビシッと緋色の方に向けながら、やや大きな声でそういう愛音。緋色は驚いて思わず体をビクッとさせてしまう。愛音はそれに構わずに、真剣な顔で言葉を続ける。