よほど恥ずかしかったのか、
それを隠すように頬を膨らませ、
俺の腕をペシペシと叩いてきたけど
それが更に可愛くて。


「そんな事されても可愛いだけなんだけど?」


意地悪く笑って美波の目を真っすぐ見つめた。


「ちょ、もう!ほんと無理…。」


最終手段で顔を両手で覆った美波。


「響輝は魔性の男だ…。」


ぼそっと呟いた美波に心の中で反論する。


美波のが魔性だ。
いや、魔性より小悪魔?


俺は顔に出さないように必死だけど
いつだって俺の心は美波の言動によって
揺さぶられてる。
笑った顔も照れた顔も怒った顔も、
美味しいものを幸せそうに食べる顔も、
時々何を考えてるか分からない顔も、
いつだって俺の中は美波の存在でいっぱいで
他の人が入ってくる隙間なんてない。