「じゃ、風呂入ったあと
また消毒して絆創膏貼っとけよ。」


頭をポンっと軽く撫でて帰ろうとする響輝。


いつもよりもゆっくり歩いたはずなのに
早く家に着いてしまった気がして…


ーーーギュッ


まだ離れたくなくて
私は咄嗟に響輝のYシャツの裾を握った。


「…うち、寄ってく?
おばあちゃん、今日自治会の集まりでいないから。」


私、響輝と過ごす度に
どんどん欲張りになっていると思う。


最初は夢を阻止するためだったのに
だんだん、響輝の声が聞きたい、
笑顔が見たい、名前を呼ばれたい
そう思うようになって
今はただただ、響輝と少しでも長く
一緒にいたい…。


その一心で出た言葉だったけど
見上げた響輝の顔を見て
自分が何を言ったのか焦って理解した。