「職員室にでも行ってるか…。」


仕方ない。
美波を傍にあった椅子に
そっと座らせ薬棚を開けた。


「え!いいよ、これくらい自分で…!」


「黙って座ってろ。」


立ち上がろうとする美波を
また椅子に座らせ薬棚から
消毒液と絆創膏を取り出した。


「あ、その前に洗った方がいいよな…。」


俺はポケットからハンカチを取り出し
水で濡らして美波の元へ戻ると
何故かクスクス笑っていた。


「…なんだよ?」


「んー?別に?
ハンカチ持ってるなんて
響輝って意外と女子力高いんだな~
って思っただけだよ?」


そう言いながらまだ笑う美波に
少し恥ずかしくなった。


「べ、別にいい事だろ?
かーちゃんがハンカチとティッシュは
持ち歩けっていつも…。」