「美波!遅かった…」
遅かったな、
そう言おうと思ったけど
それは出来なかった。
「膝どうした?!」
遅れて入ってきた美波は
膝が擦りむけて血が出ていた。
「…あー、これ?
慌てて走ってきたら転んじゃってさ!」
はははっと気まずそうに笑う美波だったけど
俺は焦って美波に駆け寄った。
「とりあえず、保健室行くぞ。
アオト、先生来たら言っといて。」
「あ、おぉ。気をつけて!」
「ほら、行くぞ。」
アオトに伝言を頼み
俺は美波の腕を自分の首に回し
美波の膝裏に手を入れ彼女を持ち上げた。
「え?!ちょ!恥ずかしいから下ろして!!」
「ダメだ。」
所謂お姫様抱っこ。