美波Side
あぁ、やっぱり響輝の手は暖かい。
私を全部包み込んでくれるように大きくて、
不安を全部取り除いてくれるような
心地のいい体温。
響輝のそばにいると私の心は満たされる。
今まで、何人の人に好かれてきても
全く満たされなかった心が
一瞬で満タンになるんだ。
もちろん、私はたくさんの人に
愛されることで心を満たしているわけじゃないから
当たり前といえば当たり前なんだけど。
こう、なんていうか
他の人とは違う”なにか”があるんだ。
例えるなら、パズルの最後の1ピースが綺麗に嵌る感じ。
他のどれでもない、
世界に一つ、唯一無二の存在みたいな…。
オレンジ色の空の下。
こうして響輝と手を繋いで歩いている私は
夢の中にいるんじゃないかと思えるほど幸せ。