いつもと全く変わらない笑顔で
そう言ってのけるから
俺が逆に気にするのもよくないと思って
「そっか」と軽く返事だけして
学校へ向かう道を歩いた。
通学路に立っている桜の木は
すでに花びらが散りかけていて
緑の葉をつけようとしている。
だけど、そんなに気温は高くなくて過ごしやすい。
俺は、この時期が実は好きだったりする。
「この季節ってなんかいいよね。
暑くもなく寒くもなく、
だけど、草木は夏に向けて
頑張ろうとしてる感じがさ。」
「…え?」
美波の言葉にびっくりして立ち止まってしまった。
まさか同じことを同じタイミングで思ってるなんて…。
「ん?どうしたの?」
「いや…、俺も今同じこと思ってたからさ。」