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「どう? 美味しい?」


その質問に武は頷いた。


あたしは武の腹部にカッターナイフの刃を押し当てている。


本当は一緒にご飯を食べたいのだけれど、こうしていないといつ武が叫び声を上げるかわからなかったからだ。


「よかったぁ! あたしの料理って結構美味しいでしょ? せっかく何度も作って行ったのに武ったら照れて食べてくれないんだもん」


何度もと言ってもたった2度なのだけれど、そんなことどうでもよかった。


「千恵美は……?」


武の言葉にあたしはジロッと睨み上げた。


猿轡を外してから今まで何もしゃべらなかったのに、第一声が千恵美の名前でガッカリしてしまう。


「言ったじゃん。千恵美は智樹とラブラブだって」


「そんなはずない。千恵美は俺のことが好きなはずだ」


早口になってそう言う武にあたしはため息を吐きだした。