監禁するということは、四六時中武の世話をするということだ。


「ほら、こっち」


武の体を無理矢理ビニール袋の上へと移動させる。


「ここが武のトイレね」


そう言うのに、やっぱり武は左右に首を振るばかりだ。


少し我儘が行きすぎかもしれない。


あたしが武の介護までしてあげると言っているのに、なにか不満なのかわからなかった。


「仕方ないなぁ」


あたしはため息交じりに呟き、ポケットの中のカッターナイフを取り出した。


それを見た瞬間、武がクローゼットの奥へと身をよじって逃げた。


しかし、中は狭い。


逃げたと思ってもあたしの手の届く範囲だ。


あたしは丁度見えていた武の足の裏にカッターの刃を突き立てた。


思ったよりも力が籠っていたようで、刃はグサリと奥まで突き刺さる。


武が声にならない声を上げ、打ち上げられた魚みたいに全身をのたうちまわらせた。