「ほら希沙さん、お水ですよー」

「ありがと~。ほのかちゃんってなんでそんなお酒強いの」


唐突に感心して呟くと、彼女は得意げに笑った。

私と同じペースで飲んでいたはずなのに、まるで素面なんだもの。外見は可愛い小動物系なのに毒舌で酒豪って、いいキャラしてるわ。

ゴクゴクと水を飲んで少しスッキリすると、「ふぁ~」と息を吐き出しながら、背もたれにどかっと身体を預けて目を閉じる。

あーやばい……このソファ、心地よすぎて睡魔が……。

ここが豪華な邸宅ということなどすっかり忘れ、実家と同じように眠りにつこうとする私の耳に、藪さんと周さんの声が流れ込んでくる。


「こりゃ寝るな」

「ああ、希沙はどこでも寝れる人間だと聞いた。放っておいても心配いらないだろう。むしろ、これで風邪のひとつでもひけば、自堕落な行動を反省させられるかもしれない」


冷たく厳しい発言が、緩みきっていた心にグサリと刺さった。

そ、そういえば以前、『怠けた生活を叩き直す』と言われたっけ。それも忘れていた……。眠いだけじゃなくショックで目を明けられない。