「一柳さんには感謝してもしきれません。家計はすごく助かっているし、それに……藪さんとも近づけたし」


恥ずかしそうに声を潜めて口にした最後のひとことに、私は目を丸くして過剰反応する。


「えっ、ふたりってもしや……!?」

「あ、付き合ってはないですよ! 私の完全なる片想いです」


手を振って否定されたものの、ほのかちゃんには確固たる恋心があるらしい。私は鼻の下を若干伸ばした怪しげな笑みを浮かべ、「へぇ~」とゆっくり頷いた。

仲がいいとは思っていたけど、そういうことだったか。自分よりもだいぶ若い子を虜にさせちゃって、藪さんってば罪な男。

興奮気味の私に対し、ほのかちゃんは少し切なげな表情になって本音をこぼす。


「年が離れすぎているから、恋愛対象外かなとか、周囲の目とか気になってなかなか踏み出せなくて。自分がこんなだから、希沙さんには周りになにを言われても頑張ってほしいなって思うんです」


私は年の差恋愛をしたことはないが、彼女の切実な悩みは容易く共感できる。私のことを応援してくれるその気持ちも、とても嬉しい。

この子は本当にいい子すぎるし、いじらしいし、もうギュッとしてあげたい……。