彼女の話を聞いて納得した。

真ん中にいたあの女性は、自分の娘が周さんと結ばれることを望んでいたのね。

選ばれた婚約者が身分の高い女性ならまだしも、橘さんと同じ庶民で、しかもこんな芋っ子が現れたものだから文句を言いたくなったのだろう。


「あとのふたりは金魚の糞みたいなものなので、橘さんに合わせているだけだと思います。おばさんになっても中身が女子中学生レベルで、ほんと滑稽ですよね。ただ仕事は完璧なので、追い出せないから厄介なんですよ」

「ほのかちゃん、結構毒舌だね」


小動物のような愛らしい見た目とは裏腹に毒を吐く彼女には少々驚くが、清々しくもあって私は笑いを漏らす。

とりあえずさっきの皆さんの態度の理由がわかり、少しだけもやもやしたものが解消された。


「そっか、ちょっと納得した。あの人たちみたいに、なんでこの子が?って思うのは普通だよ。こんな身なりの女が突然旧華族の嫁候補になるなんて、違和感ありまくりだもの。私じゃ不釣り合いだって自覚もしてるし」


私はもう一度自分の姿を見下ろして自嘲した。

橘さんたちのように受け入れてもらえなくても仕方ない、と半ば諦めているが、ほのかちゃんは違うらしい。