ほくほくした気分で、段ボール箱を運び終えた藪さんに、私が持っていたキャベツが入ったビニール袋を渡す。

そうして彼が調理員の方々とやり取りをしている間、私は給仕係の皆さんに挨拶しておくことにした。

食堂を覗くと、午後三時を過ぎた今は、ランチタイムを終えたのでお客様はいない。ディナーは完全予約制で五時から八時までの営業となっている。

掃除をしている給仕係の中年女性三人に、少しだけ勇気を出して声をかけてみる。


「お疲れ様です。昨日はありがとうございました」


ぺこりと頭を下げて笑顔を向けると、ぴたりと動きを止めた皆さんがこちらを凝視する。そして、三人はなにやら硬い表情で目を見合わせたあと、こちらに歩み寄ってくるので、私はギクリとした。

なんだなんだ、この空気は。イジメの主犯グループが標的の子を追い詰める、みたいな圧を感じるんですが。

なぜか私の前に立ちはだかった三人のうち、真ん中のお綺麗だが一番強そうな女性が、口元にだけ笑みを浮かべる。


「泰永さん、でしたっけ。とても粋な格好をしてらっしゃるわね」

「え」


そう言われて目を点にした私は、自分の格好を見下ろす。