「ありがとう! ぜひよろしくお願いします!」


あたしは顔の前で両手をパチンと合わせ、ペコリと頭を下げた。


その頭のてっぺんを真央ちゃんが手のひらでクルクルと撫でる。


ちょっとだけ強めに感じる圧から、『やれやれ』って感情が伝わってきた。


と同時に、五時間目の授業の予鈴が教室に鳴り響く。


「そろそろ教室移動しないと間に合わないよ? 美術室まで遠いんだから」


あたしの頭のてっぺんを軽くペンッと叩いてから、真央ちゃんが勢いよく立ち上がった。


五時間目の選択授業は、ふたりとも美術だ。