「どうしたの?」

そんな俺にいち早く気づいてくれる葵。


「ごめん、目に煙入っちゃって」

「大丈夫?」

「うん、大丈夫」


顔をのぞきこんでくる葵にこのまま抱きしめたらどうなるんだろうとか考えたけど、俺にはそんなことできなかった。

そのあとは航平のお父さんが花火をもってきてくれた。

でも葵のお父さんはつぶれてしまっていたし、俺の親父も花火はいいといって先に帰ってしまった。

航平の両親も明日朝早いからといって葵のお母さんもBBQの片付けをするといって家に戻った。


「ちゃんと火の始末はしなさいね」

「わかった」


そうして結果的に俺たち3人で花火をすることになった。


「なんか、懐かしいね」

「だな」


子供のころに戻ったみたいに俺たちははしゃいだ。


「あはははは」


笑い声がこの町全体に響いてるんじゃないかってくらい。


こんな楽しい瞬間がいつまでもずっと続けばいいと俺は願った。