「お肉焼けたよ」

そういって葵が俺の皿にのせてくれた。


「さんきゅ」

「ずるい、俺にもちょうだい」


航平がすかさず葵に皿をさしだす。


「わかってるよ、航ちゃんにも、はい」

「ありがと」

「葵も焼いてばっかじゃなくて、食べろよ」

「うん、ありがとう」

さっきから焼いては自分よりも先に親とか俺たちにくれる葵。


でもその顔からは笑顔が溢れている。

久々に葵の笑顔をみたような気がした。



「勇也くんか航平くん、うちの娘もらってくれよな」


葵のおじさんが酒がまわってきたのかそんなことを口にした。


「もう、お父さん恥ずかしいからやめて」

そんなお父さんを葵がとめる。


「大事なことだろー?なあ、2人ともどうなんだ?」

ふにゃふにゃしているのに、目だけは鋭くてなんだか怖い。

「もう怒るよほんと」

葵が怒り口調でとめるとおじさんはシュンとした感じになってそのまま椅子に座った。