その頃。

 羽弥斗は兄の幸弥の所に来ていた。

 弁護士でありながら探偵事務所も兼用している幸弥に、ノエリの事を話して無罪報道をしてもらう相談をしていた羽弥斗。


「そっか、それならまずは。真犯人を、あぶりだすのが先だと思う」

「未だに捕まっていないのは、どうしてだろう? 」

「犯人はまだ、ノエリちゃんが捕まっていると思って安心している。もしくは、見つからないとしたら整形している可能性もあるな」


 幸弥は暫く考え込んだ。


「被害者の名前は分かっているから、とりあえず被害者の事を探ってみる。きっと、こんな殺人を考えるくらいだから。他にも何か不審な点があるかもしれない」

「わかったよ。その辺りは、兄さんに任せるから」

「ああ」


 フッと一息つく幸弥。


「でも安心した。羽弥斗がやっと結婚する気になってくれて」

「え? 」

「お前がずっと「新幹線が恋人」なんて言ってて、結婚どころか彼女すら作ろうとしなかったから。父さんも母さんも、心配していたんだぞ」

「ああ・・・ごめん・・・」

「でもやっと理由が分かった。警察官を辞めた時も驚いたが、そうゆう理由があったなら納得する。後は任せてくれ」

「うん、有難う幸弥兄さん」