金奈市に戻って来たのは夕方だった。
駅には運手が迎えに来ていた。
そのまま家に戻ると、すみれが待っていた。
「おかえりなさい、どうだった? 北の地は」
「もう随分と寒くなっていたよ」
瑠貴亜はすみれにギュッと抱き着いた。
「ノエリちゃん、お帰りなさい」
すみれが満面の笑みでノエリに言った。
お帰りなさいと言われて、ノエリはきょんとなった。
「ノエリちゃんが帰って来るって聞いたから、お部屋も用意しておいたわ。ちゃんと、羽弥斗と隣同士にしてあるから安心してね」
ノエリはきょんとなって羽弥斗を見た。
「あ、ごめんね。母さん、行動力早いから。今朝連絡したら、もう用意してくれているんだね」
すみれはノエリを部屋に案内した。
南向きのとても広い部屋。
机と椅子、テーブルとソファーが置いてあり、カーペットもブルー系でとても癒される空間。
クローゼットとメイクが出来る鏡台が置いてある。
カーテンの色はグリーン系でとても爽やか。
ちょっとした低めのタンスも置いてある。
そして奥の扉の向こうが寝室になっている。
寝室にはフカフカのベッドが置いてあり、ベッドカバーは優しいピンク系で枕もしょろいカバーにレースがついている。
寝室のカーテンは厚手のブルー系。
電気はおしゃれなシャンデリアのようなデザインで、枕元に小さなスタンドが置いてある。
こんなにも素敵な部屋を用意してもらえるなんて、ノエリはまるで夢を見ているようだった。