2週間後。
季節は秋になってきて、だいぶん寒くなってきた。
羽弥斗は鉄道博物館で、変わらず勤務している。
まだノエリの事は忘れられない様だ。
普通に話をするようにはなったが、どこか寂しそうな目をしている。
羽弥斗とノエリが別れて2ヶ月目に入っていた。
あれからノエリの行くへは全く分からない。
住所を不定にしているのかもしれない。
秋も深まった今日この頃。
羽弥斗は休日で、のんびり家で過ごしていた。
「羽弥斗、今日はどこか出かけるのか? 」
「いや、どこも出かけないよ」
「そっか、じゃあ僕に付き合ってくれる? 」
「え? 」
「なになに? 2人ともどっか行くの? 」
ひまわりがやって来た。
「ちょっと久しぶりに、遠出しようかと思って。すみれは今日は出張でいないし、この頃ずっと家の中ばかりだからさっ」
「うん、賛成! 私も行く! 」
「僕はいいよ、2人で行っておいでよ」
「だめだよお兄。このままじゃ、引きこもりになっちゃうもん。無理やりでも、連れて行くから」
ひまわりに押されて、羽弥斗はしぶしぶついて行く事にした。
瑠貴亜は特に行先も告げないまま、羽弥斗とひまわりを連れてきた。
駅に来ると手際よく切符を買う瑠貴亜。
「なになに? お父さん、今日は新幹線の乗せてくれるの? 」
「ああ、今日は北に行ってみようと思ってね」
「え? 北? 東北新幹線? 」
「うーん。もっと北かな? 」
瑠貴亜に連れられて、とりあえず着いて行く羽弥斗とひまわり。
座席は一般車両で自由席だが、西に行く新幹線とはまた違う。
「すごいね、北に向かう新幹線って乗り心地がとってもいいね」
ひまわりはとてもご機嫌。
羽弥斗はいつもよりは、ちょっとだけ微笑ましい顔している。