「ただいま」
羽弥斗が玄関を入ると、急ぎ足ですみれがやって来た。
「お帰りなさい、羽弥斗」
満面の笑みでやって来たすみれ。
綺麗にしているすみれを見ると、ノエリはちょっとムッとして俯いた。
「あら、この子が羽弥斗の彼女? とっても可愛い子ね」
「城里ノエリさん。ちょっと、人見知りだけどとっても良い子だよ」
「ノエリちゃん、可愛い名前ね。羽弥斗の母のすみれです。さ、どうぞ」
リビング。
食卓には夕食の準備がされている。
唐揚げやエビフライ、ハンバーグ、サラダなどの料理が並んでいる。
「お、羽弥斗お帰り」
料理を並べている瑠貴亜。
「父さん、早かったんだね」
「いやあ、すみれから連絡が入ってね。羽弥斗が素敵な彼女を連れてくるから、色々買ってきてと言われてからさぁ」
「そっか、すごい料理だね」
瑠貴亜はノエリに歩み寄って来た。
「えーっと、何ちゃん? 」
尋ねられ、ノエリはきょんとなった。
「あ、父さん。ノエリ、城里ノエリちゃんだよ」
「ノエリちゃん? どっかで見た事あるような気がするけど。いらっしゃい」
ギュッと、瑠貴亜はノエリにハグをした。
ノエリは驚いて目を丸くした。
「ちょっと父さん。ノエリはちょっと人見知りするんだ、いきなりハグなんてしたらびっくりするよ」
「あ、ごめん、ごめん」
照れ笑いを浮かべながら、瑠貴亜はじっとノエリを見つめた。
ノエリはじっと見られるのが嫌で、すっと視線を落とした。
「とりあえず座って」
羽弥斗はノエリを食卓の椅子に座らせた。
壁時計を見ると、もう18時を回っていた。
「ひまわりは? 」
「部活で遅くなるみたいよ、先に食べましょう」