やんわりと、物腰も穏やかに、笑顔もどこまでも優しく、おばさんはそう言った。
なるほど、確かにこれは効果がありそうだ。

「本当に、ありがとうございました」
代金を払い、僕はまた歩き出す。
「またどうぞ」
おばさんは、かしこまって礼をし、僕を見送ってくれた。


              *

上品なたたずまいの病院を前に、僕は深呼吸をした。
いきなり行って、タケチは怒らないだろうか。
もし、逆鱗に触れることがあったら、僕の高校生活は終わりだ。

自動ドアのところまで来て、僕は決心した。
行こう、行ってしまえば、みな同じ。