(そうだ! タケチのお見舞いに行こう!)

まるで旅行にでも行くかのように、軽い気持ちで僕は決行した。

遅刻やサボリはあっても、丸一日学校を休むなどということは、今まで彼はしなかったらしいし。(移動教室で歩いている時に、女の子がそう話しているのを耳にした)

救急車に乗り込むことを拒否した僕だったが、タケチが搬送された先は知っている。
というのも、この近辺に入院できそうな大きな病院は、一つしかないのだから。

その名も、≪聖心堂病院≫。
キリスト教系の病院なのだが、ここ以外に良い病院もなく、規模がともかく大きいため、ここいらに住む人の他、ちょっと離れた場所に暮らす人まで、この聖心堂病院を利用している。

バンカラ、番長、という感じのタケチには、これ以上ないほど、不似合いだ。

ぷっと噴き出す笑いを、僕はこらえながら、放課後の道を歩いていた。