「僕は、フツーの高校生だよっ!? 何で、そんな短歌なんて……」
「私、やる」

僕の反撃の最中、ひと際高い声が、僕の声を遮った。

宇都木さぁん、ま、マジでぇ!?
ど、どうして……。

「何で、宇都木さん?」

宇都木さんの目に、力が入っているのがわかる。
だてに、宇都木さんファンじゃぁ、ないさ。

「私……今まで、親の言うことばかりやってきた。ヴァイオリンも、ピアノも、クラシックバレエも……もう、自分で何か決めたい」

純粋に聞いたら自慢かよ、と思われそうなものだが、彼女は深刻に考えているのだろう。僕からしたら、羨ましい限りだったけれど、本人はあまり楽しんでいなかったみたいだ。