いや、と否定された田中さんは可哀想だった。
ちょっと肩を落とし、うな垂れていたから。
だけど、タケチがおっちゃんとこにも来るから、と言うと、田中さんはまたうれしそうに笑顔を見せた。

それにしても、部活とな。
まさか、群れるのが嫌いそうな彼の言うこととは、思えなかった。
彼は、それほどまで短歌に魅力を感じているのか。

僕だって、確かに面白そうだなと思った。
歯切れのいいテンポで、色々な言葉があって……。
しかし、自分が作れるとも思わなかったし、そうまでして作りたい、とも思わなかった。

宇都木さんは、どうなのだろう。
うかがうように彼女の方を向くと、目が合った。
お互い、そこまでは……というような、微妙な顔つきなのが、よく分かった。

「先生って……タケチ、部員はどうするのさ」
僕が、聞いてやった。
今時、短歌をつくる部活など、聞いたことがない。