「おい、お前もどうだ」
タケチは、僕を通り過ぎた先に、視線を送る。
その先には、輪に入れずにぼうっと立っていた宇都木さんがいた。
いけない、どうして僕は気がつかなかったのだ。
……タケチの、好感度アップじゃないか。
僕がつまらないことを考えていると、
「あ……うん。やってみたい。私、得意だったから」
救われたような笑顔で、宇都木さんはこちらにやってきた。
僕は、「じゃ、どくね」と言うと、「ありがとう」とにっこりお礼を言ってくれた。
優しいな、こんな気遣いも、やっぱり上品だな、と思った。
しかし、宇都木さんが百人一首好きだったとは。
ハマるような、意外なような。
そう思っていると、太り気味のおじさんに代わり、今度ははげ頭のおじいさんが読み始めた。
声は、妙にかぼそかった。
「も~も~しきぃやぁ~…… ふぅるきの~きばの しぃ~のぶにもっゴホっ!」
タケチは、僕を通り過ぎた先に、視線を送る。
その先には、輪に入れずにぼうっと立っていた宇都木さんがいた。
いけない、どうして僕は気がつかなかったのだ。
……タケチの、好感度アップじゃないか。
僕がつまらないことを考えていると、
「あ……うん。やってみたい。私、得意だったから」
救われたような笑顔で、宇都木さんはこちらにやってきた。
僕は、「じゃ、どくね」と言うと、「ありがとう」とにっこりお礼を言ってくれた。
優しいな、こんな気遣いも、やっぱり上品だな、と思った。
しかし、宇都木さんが百人一首好きだったとは。
ハマるような、意外なような。
そう思っていると、太り気味のおじさんに代わり、今度ははげ頭のおじいさんが読み始めた。
声は、妙にかぼそかった。
「も~も~しきぃやぁ~…… ふぅるきの~きばの しぃ~のぶにもっゴホっ!」