うん、と呟き、僕は太り気味のおじさんの言葉に、耳を研ぎ澄ます。
「もみぢのにしき かみのまにまに~……」
僕はバッとタケチの取った札を見る。
もみじ、もみじ……。
すると、得意気にタケチが見せる札には、確かに太り気味のおじさんが言う文句が、しっかり一字一句たがわずに、書かれていたのだった。
「あ、合ってる……すごいじゃないか! 木村くん!!」
歯も立たなかったからか、素直に僕はタケチを褒めた。
彼も嬉しそうに、普段学校では全然見せないような、子どもっぽい笑みをうかべる。
「本読んで、覚えたんだ。結構、いいモンだぞ、百人一首」
「そうだね、一瞬だけど、このハラハラ、面白いね」
昔やった曖昧な記憶では、あまり面白くなかったのだが、今ここで札を探した時間は、なかなかに楽しいものだった。
「もみぢのにしき かみのまにまに~……」
僕はバッとタケチの取った札を見る。
もみじ、もみじ……。
すると、得意気にタケチが見せる札には、確かに太り気味のおじさんが言う文句が、しっかり一字一句たがわずに、書かれていたのだった。
「あ、合ってる……すごいじゃないか! 木村くん!!」
歯も立たなかったからか、素直に僕はタケチを褒めた。
彼も嬉しそうに、普段学校では全然見せないような、子どもっぽい笑みをうかべる。
「本読んで、覚えたんだ。結構、いいモンだぞ、百人一首」
「そうだね、一瞬だけど、このハラハラ、面白いね」
昔やった曖昧な記憶では、あまり面白くなかったのだが、今ここで札を探した時間は、なかなかに楽しいものだった。