「だって……心配だったから。木村くん、いつもケンカばっかりしてるもの……」

宇都木さんは、泣き出しそうな顔をしている。
タケチが、どうにもこうにも、羨ましくてしかたなかった。

「いいだろ、別に……お前に、何か関係でもあんのかよ」
「…………」

硬派なタケチの返答に、宇都木さんは何も言い返せず、唇を真一文字に結び、俯いてしまった。

一気に、険悪なムードになってしまったではないか。
こういう時、役に立つのは意外と無関係なヤツだったりするものだ。

……つまり、僕のことなんだけれどね。

「いいじゃないか、宇都木さんは怪我を心配してたんだよ! それと、木村くん、今百人一首やってなかった?」

上手くまとめたなぁ、と自分でも満足げに、僕は宇都木さんをフォローしつつ、ちゃっかり気になっていたことも聞くことに成功した。