「僕は、君と同じ明月(めいげつ)高校なんだ。桜井行定。2年2組だよ。部活は……帰宅部だけど、それ以外に特になにもしていない」
自己紹介って、アピールするところのない者にとって、地獄だなぁ、とつくづく感じた。
でも、タケチは何だか楽しそうに口の端を緩ませている。
「これ、どうぞ」
話すこともなくなり、僕はタケチにあの花束を渡した。
タケチは、サンキュ、と短く言って、嬉しそうに花を眺めていた。
「僕は、これぐらいかな……それで、こちらが」
「宇都木小夜です。木村くんと同じ、3組の」
僕が紹介しようと手を向けると、彼女はずいっと身を乗り出し、所在なさげに僕の左手は遊んでしまった。
「おう、わざわざ悪い。どうして、また?」
なんだなんだ、何か結構知り合いっぽい雰囲気だぞ。
宇都木さんに想いを寄せる僕としては、この上なく息苦しいムードになってきた。
自己紹介って、アピールするところのない者にとって、地獄だなぁ、とつくづく感じた。
でも、タケチは何だか楽しそうに口の端を緩ませている。
「これ、どうぞ」
話すこともなくなり、僕はタケチにあの花束を渡した。
タケチは、サンキュ、と短く言って、嬉しそうに花を眺めていた。
「僕は、これぐらいかな……それで、こちらが」
「宇都木小夜です。木村くんと同じ、3組の」
僕が紹介しようと手を向けると、彼女はずいっと身を乗り出し、所在なさげに僕の左手は遊んでしまった。
「おう、わざわざ悪い。どうして、また?」
なんだなんだ、何か結構知り合いっぽい雰囲気だぞ。
宇都木さんに想いを寄せる僕としては、この上なく息苦しいムードになってきた。