中に入ると、ベッドの上でカルタゲームか何かをしている数人の男性が、まず一番に目に入った。

中心にいるのは、間違いなくタケチ。
ガタイもいいし、男前ゆえにどこにいてもやっぱり目立つ。

そんなクールなタケチが、必死で札を探している。
向かい合ったおじさんも、必死に札を探している。

周囲をとりかこむ、これまたおじさんも、どちらかを応援しつつ、自分も札を探していた。

「……なんだ、こりゃ……」
思わず、僕は口走っていた。

「これやこの~ 行くも帰るも 別れては~ 知るも知らぬも 逢坂の関ー……」
「ハイッ!」

「うわ~、覚えたばっかなのに、タケちゃんは強いな」
禿頭……はげ頭のご老人が、薄い頭をポン、と景気よくたたき、そう言った。