「桜井くん、何組になったんだっけ?」
「……2組だよ。宇都木さんは?」

3組だということは、知っていた。
けれど、口にするのは、はばかられた。
まるで、彼女をストーキングしているみたいで。

「3組よ。あっ……お隣だったんだ……ごめんね」
「いいよいいよ」

キズついたさ。
でも、しょうがない。
なけなしの強気で、僕は気にしていない風を装ったのだった。

            
             *

木村、という名前が記された病室には、他の患者さんも数人いるらしく、いくつかの名札がドア付近に、ついていた。
中に入る前に、殺菌用のジェルを両手に塗り、僕から病室へ入る。