そう言いながら顔を歪ませ、部屋のガムテープを外そうとしたものの、粘着テープで固く固く閉じられてしまっている。
それに、身体がどんどん重くなって、いうことが聞かなくなっているようだ。




「 もうこれ以上、君らの苦しむ姿は見たくないんだよ。 」




晴雷はそう言うと、膝からバタリと崩れ落ちた。


膝を立ててベッドに座っていた紗來も、力が抜けたようにその場に倒れ込んでしまう。そんな紗來を、翔湊は急いで抱きとめた。

苦しそうに咳をする魅月の隣で、泪もよろついている。



鼻をつく匂いが、どんどん酸素を奪っていく。
意識を奪い痛みと苦しみを与え、死を知らせていく。

それなのに、五人の意識はまだはっきりしていて、それが余計に苦しい。




「 ゲホッ、ゲホッ………違う…待って、晴雷さん。俺がこんななのは、元々だから。晴雷さんの…せいじゃ、ない、から。 」




途切れ途切れだが、魅月は咳で滲んだ涙をこらえてそう言った。
晴雷はその言葉を聞いているものの、答えないまま。




「 晴雷さんっ……まど、あけて…。 」




支えきれない身体を翔湊に預けながら、紗來は涙ながらにそう訴えた。それに続いて、倒れ込んでしまった泪も「 晴雷さん 」と呼ぶ。

そんな泪を見て、魅月は反射的にその身体を支える。
そして魅月も、同じように晴雷の名前を呼んだ。